今から２５６年前の宝暦１４年に、常盤半兵衛という人が相州鍛冶屋村(現在の神奈川県湯河原町)からやって来て、君津の山村に土窯を築いて炭を焼く方法を教えてくれました。

　カシなどの堅い木に恵まれたこの地からは、たくさんの炭が焼かれて小糸川の川舟で河口の河岸へ送られ、さらに江戸に運ばれました。質の良い炭は「上総木炭」と呼ばれ江戸で大量に使われたので、この地は経済的に大変ゆたかになりました。

　郷土の恩人常盤半兵衛は土窯半兵衛と親しく呼ばれ、今から２５０年前の安永元年１２月１１日に市宿で亡くなりました。市宿の三経寺にお墓と顕彰碑があります。　　

　今では燃料としての炭の利用がほとんどないため、山へ木を伐りに行くことがなくなりました。木を伐らなくなった山は大変荒れていて、山崩れが起こる心配があります。

　また猿やイノシシなどの動物も山に住みにくくなり里へ出てきて、農作物を食べ荒らしています。

　半兵衛炭焼塾では、常盤半兵衛の遺徳を偲び炭焼の技術と炭文化を後世に伝えるために、土窯をつくり炭を焼くとともに炭焼の技術指導と資料の展示を行っています。

​　皆様のご来窯をお待ちしております。​　　　　　　　　　　半兵衛炭焼塾　木曽野正勝